このブログでは、NHKの英語ラジオ番組「Enjoy Simple English」の内容をもとに、
- 本文和訳
- チャンク&単語解説
- 英語での要約
を毎日更新しています。
毎週水曜日は「アメージング・ストーリー”Amazing Stories”」です。命がけの冒険や心ふるえる絆など世界各地で起きた驚くべき本当の話を紹介しています。
本日のAmazing Storiesのストーリーは「Saving 669 Children」です。
「聞き取れなかったところを確認したい」
「ストーリーを理解してからもう一度聞きたい」
そんな方の学習補助として活用していただけたら嬉しいです。
また、チャンク&単語解説は、日常会話で役立つものやESEで頻繁に出てくるものをピックアップして解説しています。隙間時間の学び直し等にも有効に活用できると思います。
ではさっそく、今日の内容を見ていきましょう!

Saving 669 Children(669人の子どもを救った英雄):和訳
1ページ目
「もし何かが不可能でないのなら、それを成し遂げる方法があるはずだ。」
これは、第二次世界大戦が始まる直前に何百人もの命を救った、ある親切な男性の言葉です。
彼はいったい何をしたのでしょうか?この驚くべき物語を読んで確かめてみましょう。
1938年12月、ニコラス・ウィントンという名のイギリス人実業家がチェコスロバキアのプラハにいました。
彼は「ニッキー」という愛称でも知られていました。
彼がそこにいたのは、多くの人々が悲惨な状況にあると聞いて、助けたいと思ったからです。
2ページ目
その3か月前、ドイツのナチス軍がチェコスロバキアに侵攻しました。
多くの人々、特にユダヤ人たちは恐怖を感じました。
そこで彼らは家を捨て、難民としてプラハに逃れたのです。
ニッキーは難民キャンプを訪れ、人々が寒くて湿ったテントで、食べ物も暖房もほとんどない中で生活しているのを目にしました。
「もし僕が何もしなければ、ナチスがやって来て、みんなを連れて行ってしまうかもしれない。」
ニッキーは、子どもたちを救うことは可能かもしれないと考えました。
彼は約1か月間プラハに滞在し――
3ページ目
ボランティアのグループと協力して、救出が必要なすべての子どもたちのリストを作成しました。
イギリスに戻った後、ニッキーは政府の担当者たちに自分の計画を話しました。
最初、彼らは断りましたが、ニッキーはあきらめませんでした。
最終的に、政府は「子どもたちが滞在先と、将来プラハへ戻るための十分な資金を確保できるなら受け入れられる」と言いました。
ニッキーは資金を集めるために奔走しました。
そして、子どもたちを受け入れてくれる家族を探しました。
しかし、ほとんどの家庭には余分なお金がなく、それは大きな困難でした。
ついに1939年3月、数か月にわたる努力の末――
4ページ
最初の子どもたちのグループがイギリスに到着しました。
その後も子どもたちは次々に到着し、8月末までに合計669人の子どもたちが無事にイギリスへ渡ることができました。
もうひとつのグループが9月1日に出発する予定でしたが、残念ながらそれは実現しませんでした。
なぜなら、その日に第二次世界大戦が始まってしまったからです。
ニッキーは深く心を痛め、このことについて二度と語ることはありませんでした。
それから約50年後の1988年、ニッキーの妻が1939年のノートを見つけました。
そこには、ニッキーが救った子どもたちの名前や写真が載っていました。
BBCはこのことを知り、ニッキーをテレビ番組のゲストとして招待しました。
その時、ニッキーは80歳近くになっていました。
番組には、ニッキーが救った多くの子どもたちも招かれていましたが、彼はそれを知りませんでした。
番組中、司会者がこう言いました。
「もしニコラス・ウィントンに命を救われた人がいたら、どうか立ち上がってください。」
すると、ニッキーの周りに座っていたすべての人が立ち上がりました。
ニッキーは微笑み、涙を拭いました。
そのとき、皆が彼の物語を知ったのです。
ニッキーは2015年、106歳で亡くなりました。
ニッキーは、不可能に思えることでも、方法を見つけて実行することで、多くの人の人生を変えたのです。

日常生活で使えるチャンク&単語解説
ここでは日常生活で使えるチャンク(言葉のひとまとまり)や単語の解説をします。
チャンク&単語帳
以下のチャンクや単語をタップすると、日本語訳が出てくるので、訳を見ずに意味がわかるか挑戦してみてください!
ひどい
以前
ユダヤ(人)の
難民
政府
お金を集める、寄付金を募る
〜をぬぐう

チャンクPickUP
If something is not impossible, then there must be a way to do it.
(日本語訳)もし何かが不可能でないのなら、それを実現する方法がきっとあるはずだ。
構成パーツの解説
パーツ | 意味 | 機能 | 補足 |
---|---|---|---|
If something is not impossible | もし何かが不可能でないのなら | 条件を示す副詞節 | 二重否定で「可能である」という意味合いになる |
then | それならば | 結論を導く接続副詞 | 条件節に続く主節を導く |
there must be | きっとある | 存在を強く示す助動詞構文 | 「must」は話者の強い確信を表す |
a way | 方法 | 存在の対象 | 目的達成の「手段」 |
to do it | それをするための | 形容詞的用法の不定詞 | 「way」を修飾する「どんな方法か」 |
「There must be a way to ~」は、「きっと~する方法があるはずだ」と、困難に直面した時に希望を持つフレーズとしてよく使われます。
「a way to + 動詞」は「~する方法」の定型表現で、「solve this problem(この問題を解決する)」「fix this mistake(この間違いを直す)」などと組み合わせて汎用的に使えます。
このチャンクは強い確信を表すため、根拠が全くない場面では不自然に聞こえることがあります。感情的・精神的な励ましや前向きな場面に合います。
「must」が強すぎると感じる場合は、「There should be a way to do it.(たぶん方法がある)」とshouldにすると柔らかくなります。
日常会話への応用
– There must be a way to fix this.
(これを直す方法がきっとあるはずだ。)
– Don’t give up. There must be a way to help him.
(諦めないで。彼を助ける方法がきっとあるよ。)

PickUP長文読解
Enjoy Simple Englishでは関係代名詞等を用いた長い一文がよく出てきます。そこで、ストーリーに出てきた長文の構造や意味などを確認する中で、関係代名詞などの構文に強くなって、長文読解への抵抗をなくしましょう!
今回の一文
“Finally, they told Nicky that the children could come if they had a place to stay and enough money to return to Prague in the future.”
(日本語訳)ついに、彼らはニッキーに、「子どもたちは、泊まる場所と将来的にプラハに戻るための十分なお金があれば来てよい」と伝えました。
構成パーツの解説
パーツ | 意味 | 機能 | 補足 |
---|---|---|---|
Finally | 最終的に | 文の副詞(文全体を修飾) | 話の展開を示すつなぎ言葉 |
they told Nicky that… | 彼らはニッキーに〜と言った | 主節 | that節の内容が伝えた内容になる |
the children could come | 子どもたちは来ることができる | that節の中の主文 | 「来る条件」について次に述べられる |
if they had a place to stay | もし彼らに泊まる場所があれば | 条件節(if節)① | 「a place」を「to stay」が修飾。不定詞の形容詞的用法 |
and enough money to return to Prague in the future | そして将来プラハに戻るための十分なお金 | 条件節(if節)② | 「enough money」を「to return to Prague in the future」が修飾。不定詞の形容詞的用法 |
読解のポイント
文章が長いがパーツごとに色分けすると以下の通りとなります。
they told Nicky that the children could come if they had a place to stay and enough money to return to Prague in the future.
赤文字:主節(彼らはニッキーに伝えた)
青文字:目的節(何を伝えたか)
緑文字:条件節(どういう条件で来れる(目的節の内容)のか)
この条件節も長い文章になるが、修飾語を削ぎ落とすと、if they had a place and money(彼らが場所とお金を持てば)となり、わかりやすくなる。こうなれば文の意味を掴みやすくなります。
① that the children could come if…” の構造
“that節” の中に、さらに “if節(条件)” が入れ子になっています。
that節の中の主文が “the children could come” であり、その可否の条件が “if〜” で語られています。
② to不定詞の修飾関係に注意
“a place to stay“ → 「泊まる場所」
”to stay” が “place” を修飾する不定詞の形容詞的用法
“enough money to return to Prague“ → 「戻るための十分なお金」
”to return to Prague” が “money” を修飾する形容詞的用法
③ and の使い方
“a place to stay and enough money to return…” という並列構造
この “and” は「条件を2つ列挙しているだけ」で、主語や動詞をつなぐandではない
→ “子どもたちは、2つの条件(泊まる場所・十分なお金)を満たせば来てよい“

本日の記事の要約
今回の記事をAIが要約しました。ぜひリーディング練習にご利用ください!
要約 日本語訳:
1938年、イギリス人の実業家ニコラス・ウィントンはプラハを訪れ、ユダヤ人の子どもたちが劣悪な環境で暮らしているのを目にしました。ナチスの脅威を感じた彼は、子どもたちを避難させるために尽力しました。ボランティアと共に名簿を作り、里親を探し、最終的に669人の子どもたちを救いました。50年後、その功績が明らかになり、彼は救った人々から称えられました。

先週のESEチャンク解説まとめ記事のご紹介
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先週の放送でピックアップしたチャンクをまとめて解説した【週末まとめ記事】を公開しています。このまとめ記事では、ESEの内容を思い出しながら、日々の英語学習に役立つ重要なチャンクを一気に振り返ることができます。
「チャンクをしっかり覚えたい」「英語表現力を高めたい」「1週間分を効率よく復習したい」という方には特におすすめです。再放送のタイミングでの復習や、苦手なチャンクの再確認にも便利ですので、ぜひチェックしてみてくださいね。
ESEの放送について
NHKのラジオ番組「Enjoy Simple English(ESE)」は、月曜〜金曜の毎朝6:00〜6:05(再放送あり)に、NHKラジオ第2で放送されています。
※最新の放送スケジュールや放送内容の詳細は、NHKの公式サイトをご確認ください。
👉 NHK Enjoy Simple English 公式ページ(外部リンク)
また、聞き逃してしまった場合も、「NHKゴガク」サイトや「らじる★らじる」アプリを使えば、放送から1週間以内であれば何度でも聞き直すことができます。
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