このブログでは、NHKの英語ラジオ番組「Enjoy Simple English」の内容をもとに、
- 本文和訳
- チャンク&単語解説
- 英語での要約
を毎日更新しています。
毎週水曜日は「世界の偉人伝”Heroes and Giants”」です。日本を、世界を動かした偉人たちの誰もが知るその偉業を、ちょっと意外なその素顔を、英語で味わうことができます。
本日のHeroes and Giantsのストーリーは「Ayrton Senna ~ A Racing Legend ~」です。
「聞き取れなかったところを確認したい」
「ストーリーを理解してからもう一度聞きたい」
そんな方の学習補助として活用していただけたら嬉しいです。
また、チャンク&単語解説は、日常会話で役立つものやESEで頻繁に出てくるものをピックアップして解説しています。隙間時間の学び直し等にも有効に活用できると思います。
ではさっそく、今日の内容を見ていきましょう!
Ayrton Senna ~ A Racing Legend ~(アイルトン・セナ 〜 伝説のレーサー 〜):和訳
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F1(フォーミュラ・ワン)は、世界で最も難しい自動車レースです。毎年およそ20戦が行われ、マシンは時速およそ370キロまで出ます。
1980年代半ばになると、日本でもF1レースがとても人気になりました。その理由の一つは、ホンダのエンジンがマシンに使われるようになったからです。ですが一番大きな理由は、多くの人がブラジル人レーシングドライバー、アイルトン・セナのファンだったからかもしれません。
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セナは1960年にサンパウロで生まれました。彼の家は裕福で、いくつかの会社を持っていました。彼は若いころからレースを始め、良いドライバーになりました。最初のうちは、プロのレーサーになることをそれほど真剣には考えていませんでした。父親が家業を継いでほしいと言ったので、いったんレースをやめたこともあります。しかし、たくさんの人がセナにレースを続けてほしいと思っていたため、彼はプロのレーサーになることを決めました。セナは世界チャンピオンになんと3回なりました。多くの人が、彼は史上最高のドライバーの一人だったと言います。ところが1994年5月1日、セナはレース中にコンクリートの壁にクラッシュして亡くなりました。まだ34歳でした。
セナが優れたドライバーだったことを示す話はたくさんあります。例えば、彼は1秒の間に6回ほどアクセルを踏み分けることで、スピードをとても細かくコントロールすることができました。こんなことができたドライバーはほかにはいなかったと言われています。また、1992年のモナコのレースもとても有名です。なぜなら、そのとき彼ともう一人のドライバーが何度も何度も抜きつ抜かれつをしていたからです。ゴールするその瞬間まで、どちらが勝つのか誰にもわかりませんでした。今でもそのレースの映像を見ている人はたくさんいます。
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人としてのセナは、感情を表に出しやすいことで知られていました。レース中にすぐ怒ってしまうこともあり、これが原因でトラブルになることもありました。また、彼は「勝ちたい」という気持ちがとても強かったので、ほかのドライバーと仲良くなるのが難しいときもありました。最大のライバルはフランス人ドライバーのアラン・プロストで、二人は長いあいだライバル関係にありました。
しかし、セナはやさしい一面も持っていました。例えば、母国で初めてレースに勝ったとき、セナは車の中で泣いたそうです。また、本田技研工業の創業者である本田宗一郎に会ったときも、泣いたと言われています。自分のマシンのエンジンを作ってくれた人に会えて、とても嬉しかったのです。本田が1年後に亡くなったとき、セナは喪に服すため黒い腕章をつけて走りました。ライバルだったプロストに対する気持ちも、そのころには変わっていました。プロストが引退したあと、二人は良い友人になったのです。セナが亡くなる直前、彼はこう言いました。「親友のアラン、君が今日ここで僕と一緒に走っていないことが本当に悲しいよ。」
セナが亡くなってから20年以上がたちましたが、人々は今でも彼が偉大なドライバーだったことを覚えており、日本でも世界中でも彼のことを惜しんでいます。
日常生活で使えるチャンク&単語解説
ここでは日常生活で使えるチャンク(言葉のひとまとまり)や単語の解説をします。
チャンク&単語帳
以下のチャンクや単語をタップすると、日本語訳が出てくるので、訳を見ずに意味がわかるか挑戦してみてください!
やめる
〜を経営・管理する
1秒
〜に追いついた
チャンクPickUP
At first, he wasn’t serious about becoming a professional racer.
(日本語訳)最初のうちは、彼はプロのレーサーになることを本気では考えていませんでした。
構成パーツの解説
| パーツ | 意味 | 機能 | 補足 |
|---|---|---|---|
| At first | 最初のうちは/当初は | 時を示す副詞句 | later / in the end と対になることが多い。文頭で流れを作る |
| he wasn’t serious | 彼は本気ではなかった | 評価・気持ちの状態を述べる | serious = 「真剣な」「本腰を入れた」 |
| about becoming | 〜になることについて | 前置詞 about の目的語(動名詞) | about+動名詞で「〜することに関して」 |
| a professional racer | プロのレーサーになること | about の中身(具体的な対象) | a professional〜 で「職業としての〜」をはっきりさせる |
not / wasn’t serious about …ing は、「〜することを本気で考えていない」「そこまで腰を入れていない」という、強すぎない否定を言いたいときにとても便利です。
単に He didn’t want to be a racer. だと「やる気ゼロ」に近く聞こえますが、wasn’t serious about … は「やるにはやってたけど、まだ将来のつもりまではなかった」という“温度差”を表せます。英語ではこの“やる気の温度”をよく serious で表すので、仕事・勉強・趣味・恋愛まで幅広く使えます。
日常会話への応用
– At first, I wasn’t serious about studying English, but then I met a great teacher.
(最初は英語を本気で勉強するつもりじゃなかったんだけど、いい先生に出会って変わったんだ。)
– Were you serious about starting your own shop?
(自分のお店を始めるって、本気で言ってたの?)
PickUP長文読解
Enjoy Simple Englishでは関係代名詞等を用いた長い一文がよく出てきます。そこで、ストーリーに出てきた長文の構造や意味などを確認する中で、関係代名詞などの構文に強くなって、長文読解への抵抗をなくしましょう!
今回の一文
“Over 20 years have passed since Senna’s death, but people still remember that he was a great driver, and he is missed by people in Japan and all over the world.”
(日本語訳)セナが亡くなってから20年以上がたちましたが、人々は今でも彼がすばらしいドライバーだったことを覚えており、日本でも世界中でも彼のことが惜しまれています。
構成パーツの解説
| パーツ | 意味 | 機能 | 補足 |
|---|---|---|---|
| Over 20 years have passed | 20年以上がたった | 主節①(時間経過の提示) | “Over” は「〜を超えて」で「もう20年どころじゃないよ」の含み |
| since Senna’s death | セナが亡くなって以来 | 時間の起点を示す前置詞句 | since + 名詞/動名詞/節で「〜以来」 |
| but people still remember | しかし人々は今でも覚えている | 逆接で主節②につなぐ | “still” が「まだ続いている」を強調 |
| that he was a great driver | 彼が偉大なドライバーだったということを | remember の中身(that節) | “was” と過去になっているのは「存命時の事実」だから |
| and he is missed | そして彼は惜しまれている | 主節③(受け身) | “miss” の受け身=「惜しまれている」「いなくて寂しく思われている」 |
| by people in Japan and all over the world | 日本の人々や世界中の人々によって | 受け身の行為者を示す | “all over the world” で世界的な影響を示す |
読解のポイント
「時間→今の気持ち→世界規模」という3つの主張が1文に入っている
この文が読みづらい一番の理由は、内容としては3文で言えそうなことを1文にまとめているからです。まず「20年以上たった」という時間情報を提示し、次に「でも人はまだ覚えている」という現在の人々の心情を出し、最後に「しかも日本だけじゃなく世界中で惜しまれている」と広がりを足しています。なので読むときは、(1) 時間の話 → (2) 心の話 → (3) 広がりの話 と段階的に分けて処理するとスッと入ります。
“remember that …” は「〜ということを覚えている」という定型
people still remember that he was a great driver は「人々は“彼が偉大なドライバーだった”という事実を覚えている」という形です。remember のあとに that節が来るタイプはニュース英語でもよく出てくるので、そのままチャンクで覚えてしまってOKです。ここを直訳して「彼が偉大なドライバーだったことをまだ覚えています」とすれば自然な日本語になりますが、文脈によっては「今でも彼を偉大なドライバーとして語ります」くらいに意訳してもいいところです。
“he is missed” は「彼が寂しがっている」ではなく「彼の不在を人が寂しがっている」
学習者がよくつまずくのがこの he is missed。主語が「彼」なのに「彼が寂しがっている」と訳したくなるのですが、miss の受け身は「〜がいなくてさびしいと思われている」「惜しまれている」という意味になります。よくお悔やみで出てくる He is still missed by many.(彼はいまも多くの人に惜しまれています)と同じ形ですね。後ろの by people in Japan and all over the world が行為者なので、ここはきちんと受け身として捉えましょう。
本日の記事の要約
今回の記事をAIが要約しました。ぜひリーディング練習にご利用ください!
要約 日本語訳:
セナは1980年代に日本でも大人気になったブラジル人F1ドライバーでした。世界チャンピオンを3回獲得し、1992年のモナコなどのレースで驚くようなドライビングを見せました。感情を表に出しやすく、プロストと対立することもありましたが、やさしい面もありました。1994年の事故で亡くなりましたが、今でも人々に愛されています。
先週のESEチャンク解説まとめ記事のご紹介
毎日の放送を追いかけている方も、ちょっと復習したい方も必見です!
先週の放送でピックアップしたチャンクをまとめて解説した【週末まとめ記事】を公開しています。このまとめ記事では、ESEの内容を思い出しながら、日々の英語学習に役立つ重要なチャンクを一気に振り返ることができます。
「チャンクをしっかり覚えたい」「英語表現力を高めたい」「1週間分を効率よく復習したい」という方には特におすすめです。再放送のタイミングでの復習や、苦手なチャンクの再確認にも便利ですので、ぜひチェックしてみてくださいね。
ESEの放送について
NHKのラジオ番組「Enjoy Simple English(ESE)」は、月曜〜金曜の毎朝6:00〜6:05(再放送あり)に、NHKラジオ第2で放送されています。
※最新の放送スケジュールや放送内容の詳細は、NHKの公式サイトをご確認ください。
👉 NHK Enjoy Simple English 公式ページ(外部リンク)
また、聞き逃してしまった場合も、「NHKゴガク」サイトや「らじる★らじる」アプリを使えば、放送から1週間以内であれば何度でも聞き直すことができます。
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