エンジョイ・シンプル・イングリッシュ 和訳&チャンク解説(5/30)

金曜日:小泉八雲が愛した日本の民話

このブログでは、NHKの英語ラジオ番組「Enjoy Simple English(エンジョイ・シンプル・イングリッシュ)」の内容をもとに、

  • 日本語訳
  • チャンク&単語解説
  • 英語での要約

を毎日更新しています。

毎週金曜日は「小泉八雲が愛した日本の民話”Stories Lafcadio Hearn Collected around Japan”」です。明治時代に来日したラフカディオ・ハーンは妻・セツと出会い小泉八雲と名乗った。2人で紡ぎ世界に広めた日本各地の怪談・奇談を紹介しています。

本日のStories Lafcadio Hearn Collected around JapanのストーリーはJikininkiです。

「聞き取れなかったところを確認したい」
「ストーリーを理解してからもう一度聞きたい」
そんな方の学習補助として活用していただけたら嬉しいです。

また、チャンク&単語解説は、日常会話で役立つものやESEで頻繁に出てくるものをピックアップして解説しています。隙間時間の学び直し等にも有効に活用できると思います。

ではさっそく、今日の内容を見ていきましょう!

本日のストーリー “Jikininki(食人鬼)“:日本語訳

1ページ目

昔、無双国師という僧侶が美濃の山中で道に迷ってしまいました。
そして、丘の上で、僧侶専用と思われる小さな小屋を見つけました。
そこにはとても年老いた僧がいました。

「今夜、ここに泊めていただけませんか?」と無双が尋ねました。
しかしその老人は断り、近くの村への道を教えてくれました。

無双は村の村長の家に着き、温かく迎え入れられました。
彼は食事と寝床を与えられました。

真夜中近く、村人たちの泣き声で無双は目を覚ましました。
すると若い男が部屋に入ってきて、こう言いました。

「お坊様、父が亡くなりました。
私たちの村には決まりごとがあります。
誰かが亡くなると、夜の間は誰も村にいてはいけないのです。
そうしないと、不思議なことが起きると言い伝えられています。」

無双は答えました。

「私は僧侶です。お父様のお体のそばにいて、お経を唱えましょう。」

「ありがとうございます、お坊様。
もし何か奇妙なことを見たり聞いたりしたら、明朝戻った時に教えてください。」

2ページ目

村人たちは皆、村を出ていき、無双は遺体が安置された部屋へと向かいました。
無双はお経を唱え、葬儀を行いました。

夜の静寂が最も深まった頃、
静かに「何かの姿(Shape)」が部屋に入ってきました。
無双は身動きも言葉も発せられませんでした。

その姿は、猫がネズミを食べるように遺体をむさぼりました。
そして、やってきたときと同じように謎めいたまま立ち去っていきました。

翌朝、村人たちが戻ってきましたが、
誰も遺体が消えていることに驚きませんでした。

3ページ目

無双は村人たちに、その暗く恐ろしい「姿」が遺体を食べたことを話しました。
すると若者が言いました。

「それは、私たち皆が昔から聞いている古い話と同じです。」

無双は尋ねました。

「丘の上にいる僧侶は葬儀をしないのですか?」

村人たちは驚いて顔を見合わせました。

「何世代も前から、あの場所には僧はいません。」

4ページ目

無双が小屋に戻ると、老人の僧が口を開きました。

「とても恥ずかしい。
あなたに本当の姿を見られてしまったのが恥ずかしい。
昨晩、遺体を食べたのは私です。私は食人鬼(じきにんき)という、人を食べる化け物なのです。
昔、この地で僧をしていましたが、衣や食べ物のためだけに仕事をしていました。
だから死んだとたん、私は食人鬼に生まれ変わったのです。

5ページ目

それ以来、誰かが死ぬたびに私は遺体を食べなければなりません。
どうか、このひどい運命から私を救ってください。」

老人の僧がそう言うや否や、彼と小屋は姿を消しました。
無双が気づくと、彼は背の高い草むらの中に一人で立っていました。彼は五つの石が積まれた塔のそばにひざまずいていました。
それは、かつて僧が葬られた古い墓のように見えました。

日常生活で使えるチャンク&単語解説

ここでは日常生活で使えるチャンク(言葉のひとまとまり)や単語の解説をします。

チャンク&単語帳

以下のチャンクや単語をタップすると、日本語訳が出てくるので、訳を見ずに意味がわかるか挑戦してみてください!

特に

小屋、あばら屋

断る、拒絶する

暖かく

wake(〜を起こす)の過去形

ある、例の、あの

葬儀

恥じて

ひどい

地域、地方

すぐに

それ以来

古代、古い

チャンクPickUP

And then the Shape went away as mysteriously as it had come.
(日本語訳)そしてその影は、それが現れたときと同じくらい謎めいたまま立ち去った。

構成パーツの解説

パーツ意味機能補足
And thenそしてそのとき接続詞句前の出来事に続く形で話が進んでいることを示す。物語の転換や展開に使われる。
the Shapeその形/その影主語前文で出てきた「Shape(姿)」を受けている。明確に定義されていない幻想的存在。
went away去っていった/立ち去った動詞句(過去形)「go away(立ち去る)」の過去形。「存在していたものがいなくなる」ニュアンス。
as mysteriously as it had come現れたときと同じくらい謎めいたまま同等比較構文+過去完了「as〜as構文」で副詞(mysteriously)を比較。「it had come」で「以前の出来事」を表現。

went away” のような句動詞(go + 副詞)は、一語の動詞では表現しきれないニュアンス(方向性や状態の変化)を含むので、句全体で覚えるのがおすすめです。

as mysteriously as it had come” の構文は、文末に自然に加えることで文学的で洗練された印象を与えるチャンクです。

it had come”の過去完了は、時間的に「現れたとき」のほうが「立ち去る」より前だったことを示しています。

応用表現

This view moved me as much as the first time I had seen the streets of Paris.
 (この風景はパリの街並みを初めて見た時と同じくらい感動した。)

My second trip to London was as rainy as it had been the first time.
 (2度目のロンドン旅行は、最初のときと同じくらい雨がひどかった。)

関係代名詞の文章をPickUP

Enjoy Simple Englishでは関係代名詞を用いた長い一文がよく出てきます。そこで、ストーリーに出てきた関係代名詞を用いた文の構造や意味などをみていくことで、関係代名詞に強くなって、長文読解への抵抗をなくしましょう!

今回の一文

“That is the same as a very old story we have all heard before.”

(日本語訳) それは、私たち皆が昔から聞いている古い話と同じです。

構成パーツの解説

パーツ意味機能補足
Thatそれは主語直前の話(暗い形が死体を食べたこと)を指している
is the same as~と同じである動詞+比較の表現“the same as” は「~と同じ」という意味の比較表現
a very old storyとても古い話前置詞 as の目的語“as” に続く名詞句で、「同じ」である対象
we have all heard before私たちが以前に聞いたことがある関係代名詞節(that省略)“that”(関係代名詞)が省略され、名詞 “story” を後ろから修飾

今回使われている関係代名詞は、thatですが省略されています。

この文は、以下の2つのパートから成り立っています:

  • 主節:That is the same as a very old story
  • 修飾節:we have all heard before(関係代名詞 that が省略された関係詞節)

the same as + 名詞 はよく使う定型チャンク。「〜と同じ」と言いたいときに便利。

前回も出てきましたが、関係代名詞tahtが目的格であるため、省略されています。
今回の文では、関係代名詞thatは、関係節の動詞 heardの目的語になっています。

🔍 応用表現

That’s the same excuse I’ve heard a thousand times.
(それ、もう何度も聞いた言い訳と同じだよ。)

This is the same restaurant we saw on TV.
(これは私たちがテレビで見たのと同じレストランだね。)

本日の記事の要約

今回の記事をAIが要約しました。ぜひリーディング練習にご利用ください!

 要約 日本語訳:
僧侶の夢窓国師(むそうこくし)は山中で道に迷い、ある古びた小屋とその中の老人に出会います。老人に案内されて近くの村に泊まった夢窓は、夜中に謎の「影」が死体を食べるのを目撃します。翌朝、村人から「その丘にはもう何世代も僧はいない」と知らされます。夢窓が小屋に戻ると、老人は自らが食人鬼(じきにんき)という死体を食べる怪物であると告白し、消えてしまいます。夢窓は古びた僧侶の墓のそばで目を覚まします。

ESEの放送について

NHKのラジオ番組「Enjoy Simple English(ESE)」は、月曜〜金曜の毎朝6:00〜6:05(再放送あり)に、NHKラジオ第2で放送されています。

※最新の放送スケジュールや放送内容の詳細は、NHKの公式サイトをご確認ください。

👉 NHK Enjoy Simple English 公式ページ(外部リンク)

また、聞き逃してしまった場合も、「NHKゴガク」サイトや「らじる★らじる」アプリを使えば、放送から1週間以内であれば何度でも聞き直すことができます。

番組の内容をより深く理解したい方には、公式テキストの利用もおすすめです
テキストには、毎日の英文スクリプトや語彙リストが掲載されており、学習効果を高めるのに非常に役立ちます。

📘 テキストは全国の書店や、Amazon・楽天ブックスなどのオンライン書店でも購入可能です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました