このブログでは、NHKの英語ラジオ番組「Enjoy Simple English」の内容をもとに、
- 本文和訳
- チャンク&単語解説
- 英語での要約
を毎日更新しています。
毎週水曜日は「世界の偉人伝”Heroes and Giants”」です。日本を、世界を動かした偉人たちの誰もが知るその偉業を、ちょっと意外なその素顔を、英語で味わうことができます。
本日のHeroes and Giantsのストーリーは「Sen no Rikyu ~ The Tea Master “Samurai” ~」です。
「聞き取れなかったところを確認したい」
「ストーリーを理解してからもう一度聞きたい」
そんな方の学習補助として活用していただけたら嬉しいです。
また、チャンク&単語解説は、日常会話で役立つものやESEで頻繁に出てくるものをピックアップして解説しています。隙間時間の学び直し等にも有効に活用できると思います。
ではさっそく、今日の内容を見ていきましょう!
Sen no Rikyu ~ The Tea Master “Samurai” ~(アン・サリヴァン 〜 奇跡の人 〜):和訳
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日本の茶道(sado)、つまり“tea ceremony”は、今では世界中に知られています。千利休は、お茶を飲むという行為を一つの芸術に変えた人物です。これは江戸時代が始まる少し前のことでした。利休は茶道の達人として有名ですが、この時代には大きな政治的な力も持っていました。
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利休は1522年に堺で生まれました。堺は、今の大阪府の一部です。彼は裕福な商人の息子でした。彼は茶人・武野紹鴎のもとで修行しました。紹鴎はお茶の専門家であるだけでなく、和歌や禅についても多くを知っていました。彼は、茶を点てることと禅は同じ根から生まれたものであり、どちらも心の安らぎを生み出すものだと考えていました。利休は彼から多くを学びました。
40代の終わりごろ、利休は織田信長のお抱えの茶人になりました。これは正式な役職でした。彼は信長とその客たちのために多くの茶会を開きました。この頃には、日本で茶道はとても人気があり、利休も有名になっていました。そのころ彼は、茶室にある炉の大きさを決めました。また、新しい形の茶碗を使い始めました。信長に仕えている間、利休は少しずつ自分自身の茶道のスタイルを作り上げていきました。
本能寺の変で信長が亡くなると、利休は新しい天下人である豊臣秀吉に仕えるようになりました。しかし、このとき実際には何が起きていたのでしょうか。利休は本能寺の変の知らせを聞くと、京都での指導者としての役割を果たすための準備を手伝うべく、急いで秀吉のもとへ向かいました。利休は秀吉の軍のために、お金や兵を差し出していたかもしれません。
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はっきりしているのは、利休が秀吉にとって重要な存在になったということです。彼は秘書のような立場でした。
何年も秀吉に仕えているうちに、利休は自分と秀吉とでは考え方が違うことに気づき始めました。利休は「無駄をそぎ落とした簡素さ」をよしとしましたが、秀吉は豪華なものが好きでした。また、利休が「一期一会」、つまり「人との出会い一つ一つを大切に味わうべきだ」という考えを持っていたのに対し、秀吉は「出会う人すべてから金をもうけるべきだ」と考えていて、二人の考えはかみ合いませんでした。利休は、茶道が政治の場でのコミュニケーション手段として利用されることも好みませんでした。彼は茶道はあくまで一つの芸術であるべきだと考えていました。やがて利休は、秀吉の考えに反対するようになりました。秀吉はこれを嫌い、1591年に利休に切腹して命を絶つよう命じました。通常、このような命令を受けるのは武士だけです。つまり秀吉は、利休のことを武士のような存在と見なしていたのかもしれません。
その後の年、秀吉が新しい城に茶室を作っていたとき、彼は「はあ、利休にこの部屋を作ってもらえたらよかったのに」と言ったと伝えられています。秀吉は、利休に自害を命じたことを心のどこかで悲しんでいたのかもしれません。利休は、茶道を発展させた茶人として有名です。しかし同時に、当時の偉大な権力者たちの側近として信頼されていた人物でもありました。
日常生活で使えるチャンク&単語解説
ここでは日常生活で使えるチャンク(言葉のひとまとまり)や単語の解説をします。
チャンク&単語帳
以下のチャンクや単語をタップすると、日本語訳が出てくるので、訳を見ずに意味がわかるか挑戦してみてください!
政治力
商人
和歌
事件、事変
秘書
〜に反対する
チャンクPickUP
Jo-o was not only an expert on tea but also knew a lot about waka poetry and zen.
(日本語訳)紹鴎(ジョウオウ)はお茶の専門家であるだけでなく、和歌や禅についても多くの知識を持っていました。
構成パーツの解説
| パーツ | 意味 | 機能 | 補足 |
|---|---|---|---|
| Jo-o | 武野紹鴎 | 主語 | 人名なので、そのまま固有名詞。会話では He / She に置き換わる部分。 |
| was not only an expert on tea | お茶の専門家であるだけでなく | 特徴①を示す部分 | not only A で「Aだけでなく」。expert on〜 は「〜の専門家」。on の代わりに in を使うこともある。 |
| but also knew a lot about waka poetry and zen | さらに和歌や禅にも詳しかった | 特徴②を追加する部分 | but also B で「さらにBでもある」。knew a lot about〜 は「〜についてよく知っていた」。 |
| not only 〜 but also 〜 | 〜だけでなく…もまた〜だ | 文全体の骨組みになる強調構文 | AとBの両方が成り立つことを、バランスよく・少し強調して伝えるときに使う定番パターン。 |
not only 〜 but also 〜 は、「〜だけじゃなくて、さらに …も」という意味で、AとBの両方がすごい/大事だということを、少し強調して言いたいときに使うチャンクです。基本の形は主語 + 動詞 + not only A but also Bで、AとBには、同じ種類のもの(名詞同士、形容詞同士、動詞同士など)を入れるのがルールです。
日常会話への応用
– Kyoto is not only beautiful but also very peaceful.
(京都は美しいだけでなく、とても落ち着いた雰囲気があります。)
– He’s not only an expert on computers but also knows a lot about design.
(彼はコンピューターの専門家であるだけでなく、デザインにもとても詳しいです。)
PickUP長文読解
Enjoy Simple Englishでは関係代名詞等を用いた長い一文がよく出てきます。そこで、ストーリーに出てきた長文の構造や意味などを確認する中で、関係代名詞などの構文に強くなって、長文読解への抵抗をなくしましょう!
今回の一文
“Also Rikyu’s idea of ichigo ichie or “Enjoy every meeting with a new person” didn’t match with Hideyoshi’s idea of “Make money from every new person you meet.””
(日本語訳)また、「一期一会」、つまり「新しく出会う人との一つひとつの出会いを大切に味わうべきだ」という利休の考えは、「出会う人すべてからお金をもうけるべきだ」という秀吉の考えとは、かみ合いませんでした。
構成パーツの解説
| パーツ | 意味 | 機能 | 補足 |
|---|---|---|---|
| Also | また/さらに | 直前までの内容に「さらに情報を足す」つなぎ | それ以前の文とのつながりを示す「話題の追加」。文頭の Also はフォーマル文書では避けることもあるが、ESEレベルではよく使われる。 |
| Rikyu’s idea of ichigo ichie | 一期一会という利休の考え | 主語の前半 | idea of 〜 で「〜という考え方」。ichigo ichie は日本語そのままの概念名。 |
| or “Enjoy every meeting with a new person” | つまり “新しく出会う人との出会いを一つひとつ味わうべきだ” ということ | ichigo ichie の言い換え・説明 | or はここでは「または」ではなく「つまり」のニュアンスで、前の語を分かりやすい英語表現で言い換えている。 |
| didn’t match with | (〜と)合わなかった/かみ合わなかった | 動詞(述語)の中心 | match with 〜 で「〜と一致する/調和する」。ここでは「価値観が一致しない」という比喩的な使い方。 |
| Hideyoshi’s idea of “Make money from every new person you meet.” | “出会う人すべてからお金をもうけるべきだ” という秀吉の考え | match with の相手(目的語) | こちらも idea of 〜 の形。引用符の中は「考えの中身」をそのまま英語で示している。 |
読解のポイント
「Aの考え」と「Bの考え」がぶつかる対比構造をつかむ
この文の骨格はとてもシンプルで、A didn’t match with B.という形です。
A は Rikyu’s idea of ichigo ichie…、B は Hideyoshi’s idea of “Make money from …” で、
「利休の考え A は、秀吉の考え B と合わなかった」という対比構造になっています。
idea of 〜:抽象的な「考え方・価値観」を表す便利パターン
idea of 〜 は「〜という考え」「〜という価値観」という意味のよく使われるパターンです。“idea” + “of + 考えの中身” で「どんな考え方なのか」を後ろに続けて説明しています。
or の役割:「A、つまりB」の言い換えに注目する
ichigo ichie or “Enjoy every meeting with a new person” という部分では、or が単純な「AまたはB」ではなく、「A、つまりB」という言い換え・説明として使われています。このように、読解では A or B を見たときに、「AかBのどちらか」という意味か、「A、つまりB」という言い換えか、文脈から判断する必要があります。今回のように固有の日本語と引用文が並んでいる場合は、後者だと読み取るのが自然です。
本日の記事の要約
今回の記事をAIが要約しました。ぜひリーディング練習にご利用ください!
要約 日本語訳:
千利休は、日本の茶道を芸術へと高めた茶人でした。堺に生まれ、武野紹鴎に学んだのち、織田信長と豊臣秀吉の茶頭として仕えました。利休は質素で精神性を重んじる茶を好みましたが、秀吉は豪華さを好み、茶道を政治の道具としても利用しました。この考え方の違いから、秀吉は利休に切腹を命じましたが、のちにそれを後悔していたようにも見えます。
先週のESEチャンク解説まとめ記事のご紹介
毎日の放送を追いかけている方も、ちょっと復習したい方も必見です!
先週の放送でピックアップしたチャンクをまとめて解説した【週末まとめ記事】を公開しています。このまとめ記事では、ESEの内容を思い出しながら、日々の英語学習に役立つ重要なチャンクを一気に振り返ることができます。
「チャンクをしっかり覚えたい」「英語表現力を高めたい」「1週間分を効率よく復習したい」という方には特におすすめです。再放送のタイミングでの復習や、苦手なチャンクの再確認にも便利ですので、ぜひチェックしてみてくださいね。
ESEの放送について
NHKのラジオ番組「Enjoy Simple English(ESE)」は、月曜〜金曜の毎朝6:00〜6:05(再放送あり)に、NHKラジオ第2で放送されています。
※最新の放送スケジュールや放送内容の詳細は、NHKの公式サイトをご確認ください。
👉 NHK Enjoy Simple English 公式ページ(外部リンク)
また、聞き逃してしまった場合も、「NHKゴガク」サイトや「らじる★らじる」アプリを使えば、放送から1週間以内であれば何度でも聞き直すことができます。
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