このブログでは、NHKの英語ラジオ番組「Enjoy Simple English」の内容をもとに、
- 本文和訳
- チャンク&単語解説
- 英語での要約
を毎日更新しています。
毎週水曜日は「アメージング・ストーリー”Amazing Stories”」です。命がけの冒険や心ふるえる絆など世界各地で起きた驚くべき本当の話を紹介しています。
本日のAmazing Storiesのストーリーは「Donating the Gift of Life」です。
「聞き取れなかったところを確認したい」
「ストーリーを理解してからもう一度聞きたい」
そんな方の学習補助として活用していただけたら嬉しいです。
また、チャンク&単語解説は、日常会話で役立つものやESEで頻繁に出てくるものをピックアップして解説しています。隙間時間の学び直し等にも有効に活用できると思います。
ではさっそく、今日の内容を見ていきましょう!
Donating the Gift of Life(命の贈り物):和訳
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2018年5月11日、81歳のオーストラリア人男性が生涯最後の献血を行った。彼は60年以上も献血を続け、その血液は約240万人の赤ちゃんの命を救ってきた。どうしてそんなことが可能だったのだろう?この驚くべき物語を見ていこう。
1951年、ジェームズ・ハリソンが14歳の時、彼は肺の片方を摘出する手術を受けた。その手術の間、ジェームズにはおよそ8リットルの血液が輸血された。
「僕に与えられた血液が命を救ってくれた。」
この経験から、ジェームズは人々の役に立ちたいと強く思うようになった。オーストラリアでは18歳になると献血ができる。
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そこでジェームズは18歳になるや否や、針が大嫌いだったにもかかわらず献血を始めた。
ちょうど同じ頃、オーストラリアの科学者たちは毎年何千人もの赤ちゃんが亡くなる原因を突き止めようとしていた。ついに1960年代半ば、母親と赤ちゃんの血液の型が異なると問題が起きることを発見した。ほとんどの人はRh陽性だが、Rh陰性の人もいる。Rh陰性の妊婦がRh陽性の赤ちゃんを身ごもると、その赤ちゃんは命を落とすおそれがある。
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科学者たちは薬でこの問題を解決できると考えた。しかしその薬を作るには、血液中に特殊な成分を持つ人を国中から探し出す必要があった。ジェームズはその特殊な成分を持っていた。
「彼らは私に、実験に参加してほしいと頼んできた。」
ほどなくして、科学者たちはジェームズの血液を用いて「抗D(Anti-D)」と呼ばれる薬を作り出した。ジェームズは、自分が多く献血すればするほど救われる赤ちゃんが増えることを理解していた。2018年まで、ジェームズはほぼ毎週献血を続けた。
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彼は孫のスコットの命を救う助けにもなった。彼は右腕から1,163回、左腕から10回献血した。これについてジェームズはこう語っている。
「気のせいかもしれないが、左腕には針を感じるんだ。右腕には感じない。」
1960年代にジェームズを見いだした科学者ロビン・バーロウは言う。
「ジェームズのような人は見たことがありません。彼の血管はとても強い。オーストラリアで作られた抗Dの瓶には、すべてジェームズの貢献が含まれています。」
科学者たちは、ジェームズがその特殊な成分を作り出せる理由を確信してはいないが、14歳のときに受けた輸血が助けになったのかもしれないと考えている。ジェームズは献血を続けたいと望んでいたものの、医師たちは81歳を過ぎての献血は危険だと判断し、中止を求めた。最後の献血の日、ジェームズはこう語った。
「私よりも多く献血する人が現れてほしい。そうすれば、その人が本当に誰かの役に立ちたいと思っている証だから。」
ジェームズは、いのちをつなぐ献血を続ける人が現れることを願っている。
日常生活で使えるチャンク&単語解説
ここでは日常生活で使えるチャンク(言葉のひとまとまり)や単語の解説をします。
チャンク&単語帳
以下のチャンクや単語をタップすると、日本語訳が出てくるので、訳を見ずに意味がわかるか挑戦してみてください!
〜を提供する
手術
肺
妊娠した
赤ちゃんを身ごもっている
静脈

チャンクPickUP
From this experience, James knew he wanted to help people.
(日本語訳)この経験から、ジェームズは「人の役に立ちたいのだ」と確信した。
構成パーツの解説
パーツ | 意味 | 機能 | 補足 |
---|---|---|---|
From this experience, | この経験から | 情報源・理由を示す前置詞句 | 文頭に置いて強調。Because of や Based on に置換可。後ろのカンマで主節と区切る |
James | ジェームズは | 主語 | 固有名詞。I/We/She などに入れ替え可 |
knew | 分かっていた/確信していた | 過去の認識を表す動詞 | realize/learned/understood/decided などに差し替えでニュアンス調整 |
he wanted to help people | 彼は人を助けたいのだと | 目的節(名詞節)で “knew” の内容を説明 | (that) の省略可(that he wanted…)。時制の一致で wanted と過去形 |
「From this experience, S knew (that) S’ wanted to …」で「ある経験を通じて〜だと分かった/〜したいと気づいた」という表現ができます。留学や仕事のプロジェクトの振り返り、面接での自己PR、先生への学習相談など、経験から得た学びを述べる場面で自然に響きます。
knew を realized(はっきり気づいた)や decided(決意した)に替えると心の動きが鮮明になります。
日常会話への応用
– From this experience, she knew she needed to learn German.
(この経験から、彼女はドイツ語を学ぶ必要があると悟りました。)
– From this experience, he decided that he would start his own business.
(この経験をきっかけに、彼は起業しようと決めました。)

PickUP長文読解
Enjoy Simple Englishでは関係代名詞等を用いた長い一文がよく出てきます。そこで、ストーリーに出てきた長文の構造や意味などを確認する中で、関係代名詞などの構文に強くなって、長文読解への抵抗をなくしましょう!
今回の一文
“To make the medication though, they had to search the country to find someone with a special chemical in their blood.”
(日本語訳)ただし、その薬を作るために、彼らは国内を探し回り、血液の中に特殊な成分をもつ人を見つけなければならなかった。
構成パーツの解説
パーツ | 意味 | 機能 | 補足 |
---|---|---|---|
To make the medication though, | とはいえ/その薬を作るために | 目的の不定詞+談話マーカー | to + 動詞で「〜するために」。thoughは文中の「逆接の一言」=前文の流れに軽くブレーキをかける。前後をカンマで挟む配置が自然。 |
they had to | 彼らは〜する必要があった | 必要・義務(過去) | have toの過去。客観的な必要性。mustより事実的で柔らかい。 |
search the country | 国内を捜索する/国中を探す | 動作(目的①) | search + 場所で「くまなく探す」。across the country / nationwideでも可。 |
to find someone | (その結果)誰かを見つけるために | 目的の不定詞(連鎖②) | 目的の説明をtoでつなぐ連鎖。不自然ではない(英語ではよくある作り)。 |
with a special chemical | 特殊な化学成分を持つ | 後置修飾 | with + 名詞で「〜を備えた」。関係節 who had … に置換可。 |
in their blood | その人の血液の中に | 位置(詳細) | their は性別を限定しない単数包括用法。in the bloodで「血中に」。 |
読解のポイント
前置「目的の不定詞」と though の効き方
文頭の To make the medication は「何のために?」を先に提示するフレーミングで、読者の注意を目的に合わせます。そこに though が挟まれ、「とはいえ/しかし」という軽い逆接のニュアンスが乗ります。これは前の文(「薬で解決できると考えた」等)の楽観に対し、「実際には大変だった」というハードル提示。though は文頭・文末・挿入のいずれも可能ですが、ここでは挿入でトーンを和らげています。
不定詞の連鎖は「階段構造」で読む
search the country (目的①) → to find someone (目的②) と to不定詞が二段で続きます。英語では目的説明をtoで積み上げるのが自然で、冗長ではありません。日本語に訳すときは「〜するために、〜した」という因果順に収めると滑らかです。かっこで階層化すると:
[To make the medication], they had to [search the country [to find someone [with…]]].
with + 名詞 の後置修飾は関係節の簡潔版
someone with a special chemical in their blood は、関係節なら someone who had a special chemical in their blood。with のほうがスリムで、属性を追加する“付け足し”の感触。学術・説明文で頻出です。with + 名詞 + 前置詞句/分詞 と広げられる(例:someone with experience in pediatrics)。

本日の記事の要約
今回の記事をAIが要約しました。ぜひリーディング練習にご利用ください!
要約 日本語訳:
2018年5月11日、81歳のオーストラリア人ジェームズ・ハリソンは最後の献血を行った。14歳で輸血に命を救われ、針が苦手ながら18歳で献血を始めた。彼の血液には抗D製剤のもとになる稀な抗体があり、Rh陰性の母親の赤ちゃんを守った。彼はほぼ毎週、通算1,100回以上献血し、孫の命も助けた。医師の勧めで引退したが、彼はいのちを救う献血が受け継がれることを願っている。

先週のESEチャンク解説まとめ記事のご紹介
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ESEの放送について
NHKのラジオ番組「Enjoy Simple English(ESE)」は、月曜〜金曜の毎朝6:00〜6:05(再放送あり)に、NHKラジオ第2で放送されています。
※最新の放送スケジュールや放送内容の詳細は、NHKの公式サイトをご確認ください。
👉 NHK Enjoy Simple English 公式ページ(外部リンク)
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