このブログでは、NHKの英語ラジオ番組「Enjoy Simple English」の内容をもとに、
- 本文和訳
- チャンク&単語解説
- 英語での要約
を毎日更新しています。
毎週木曜日は「哲学者からの答え”Answers from Philosophers”」です。現代人のお悩みを解決するヒントを偉大な哲学者たちの言葉から学びます。リスナーのお悩み相談を受けるラジオパーソナリティという設定のストーリーなので、わかりやすく楽しいお話しになっています!
本日のAnswers from Philosophersのストーリーは「My Colleague Looks Down on Me」です。
「聞き取れなかったところを確認したい」
「ストーリーを理解してからもう一度聞きたい」
そんな方の学習補助として活用していただけたら嬉しいです。
また、チャンク&単語解説は、日常会話で役立つものやESEで頻繁に出てくるものをピックアップして解説しています。隙間時間の学び直し等にも有効に活用できると思います。
ではさっそく、今日の内容を見ていきましょう!
My Colleague Looks Down on Me(同僚に見下されたくない):和訳
1ページ目
Tom:『哲学者の答え』へようこそ。私は司会のトムです。
Shohei:小林ショウヘイです。私は哲学のことなら何でも大好きです。
Tom:今日はタケシさんからのメッセージが届いています。
Takeshi:悩みがあります。職場に、会うたびに私をからかう同僚が一人います。そんなに頻繁に会うわけではないのですが、会うと必ず「それ知らなかったの?みんな知ってるよ」といったことを言います。彼はいつも私を見下します。本当に嫌です。どうしたらいいでしょう?
Tom:聞きましたよ、タケシさん。とてもストレスですよね。
Shohei:あなたにぴったりなのは、オーストリアの心理学者アルフレッド・アドラーです。心理学と哲学は似た学問で、どちらも人をよりよく理解する助けになります。
Tom:なるほど、わかってきました。では、アドラーはこの問題をどう考えるのでしょう?
Shohei:彼の優れた考えの一つは「課題の分離」と呼ばれています。
Tom:えっ?
2ページ目
Shohei:彼は、重要な問いは「それは誰の課題か?」だと言いました。これは自分がコントロールできることと、自分の責任ではないことを理解する助けになります。
Tom:例を挙げてくれますか?
Shohei:いいでしょう。たとえばトム、あなたが服装規定のない会社で働いているとします。ある日は顧客との打ち合わせが一つもないので、ゴルフ用の短パンで出社しました。ところが上司が来て怒って、「職場でゴルフ用の短パンは履くな」と言うのです。ここでの問いはこうです。「職場でゴルフ用の短パンを履くかどうかを決めるのは、誰の課題ですか?」
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Tom:私のです!
Shohei:そのとおり。何を着るかはあなたが決めます。上司は会社に服装規定がないことを覚えておくべきです。自分の怒りをコントロールし、あなたに自分の考えを押しつけないことが上司の課題です。
Tom:でも、人はよく自分の思ったことを言いますよね。
Shohei:ええ、そしてアドラーはそれこそが問題だと言います。人は自分の責任ではないことまでコントロールしようとしがちです。落ち着いて考え、それぞれの人の課題を理解する必要があります。あなたの課題と相手の課題のあいだに線を引きなさい。
4ページ目
Tom:だから「課題の分離」と呼ばれるんですね!
Shohei:そうです。お互いの課題に踏み込まなければ、人間関係の多くのトラブルは解決できます。誰の課題かを理解すれば、自分の課題だけに集中すればよいのです。
Tom:わあ!それじゃあ、課題の仕分けをタケシさんの問題にも当てはめられますか?
5ページ目
Shohei:もちろん。同僚がタケシさんをどう思うかは、同僚の課題です。同僚の意見についてタケシさんがどう感じるかは、タケシさんの課題です。
Tom:わかりました!彼は同僚の言うことを気にする必要はないんですね。人が自分をどう思うかはコントロールできませんから。
Shohei:そのとおりです。
Tom:タケシさん、答えが見つかりました。自分の課題を分けて、どれが自分のもので、どれが違うのかを把握してください。
Shohei:他人の問題を背負い込まないこと。荷物を軽くしましょう!
Tom:それではまた来週。さようなら!
日常生活で使えるチャンク&単語解説
ここでは日常生活で使えるチャンク(言葉のひとまとまり)や単語の解説をします。
チャンク&単語帳
以下のチャンクや単語をタップすると、日本語訳が出てくるので、訳を見ずに意味がわかるか挑戦してみてください!
〜をからかう・笑い物にする
〜するときはいつでも
心理学
責任がある、責任を負うべき
負担、重荷
チャンクPickUP
I’m beginning to see that.
(日本語訳)だんだん分かってきました。
構成パーツの解説
パーツ | 意味 | 機能 | 補足 |
---|---|---|---|
I’m beginning to | 〜し始めている/だんだん〜になってきた | 進行中の変化(現在進行形+begin) | begin + to不定詞で。beginning doing は不可。I’m starting to とほぼ同義。 |
see | 理解する(=わかる) | 認知動詞 | 物理的な「見る」ではなく比喩的理解。understand / get に置換可。 |
that … | 〜ということ | 内容節(名詞節) | thatは省略可:I’m beginning to see (that) …。事実・主張の理解に。 |
I’m beginning to see that. は I see.をより柔らかく、より控えめで相手に配慮あるトーンで表現したい時や、実際にどんどんと理解してきたという変化を表現したい時に最適な形です。 これは会社での会議や、友人との日常会話、講師との会話などでも使えます。また後ろの単語をthatではなく、why/how/whatなどに変えれば、より幅広い表現が可能になります。
日常会話での応用表現
– After attending the lecture, I’m beginning to see how business and money really work.
(講義に出てから、ビジネスやお金が実際にどう回っているのか、だんだん見えてきました。)
– Thanks to your teaching, I’m beginning to understand German much better.
(あなたの教えのおかげで、ドイツ語がだいぶ分かるようになってきました。)

PickUP長文読解
Enjoy Simple Englishでは関係代名詞等を用いた長い一文がよく出てきます。そこで、ストーリーに出てきた長文の構造や意味などを確認する中で、関係代名詞などの構文に強くなって、長文読解への抵抗をなくしましょう!
今回の一文
“It’s his task to manage his anger and not to tell you what he thinks.”
(日本語訳)自分の怒りをコントロールし、あなたに自分の考えを言わないことが、彼の課題(役割)です。
構成パーツの解説
パーツ | 意味 | 機能 | 補足 |
---|---|---|---|
It’s his task | それは彼の課題だ | 主述(役割の主張) | It’s X’s task / job / responsibility で「Xの役割」を宣言。境界線を引く言い方。 |
to manage his anger | 彼の怒りを抑えること | 不定詞(役割①) | manage + 感情=感情をコントロールする。control より柔らかい。 |
and not to tell you | そしてあなたに言わないこと | 不定詞の並列+否定 | and not to で前項と対称に並べる。to not tell も可(分離不定詞)。 |
what he thinks | 彼が考えていること | wh名詞節(tell の目的語) | 直訳「彼が何を考えているか」。that節ではなく what で中身そのものを名詞化。 |
読解のポイント
「It’s X’s task to…」で“役割の所在”を明確化する
この型は、物事を「誰の課題か」に切り分けるフレーミングです。It’s his task … と主語を it にして述語で役割を提示することで、聞き手(あなた)の責任から丁寧に切り離します。ビジネスでも人間関係でも、境界設定を穏やかに伝えられる便利な言い方です。job / responsibility / role に置換して語感を調整できます。
不定詞の対称並列と否定位置
to manage … and not to tell … は to + 動詞 を2つ並べた対称構造。否定は not を2つ目の to の前に置いて「〜しないこと」を明確化しています。口語では to not tell も自然ですが、学習段階では and not to のほうが形が揃い、読みやすいです。動名詞版 managing … and not telling … も文法的に可ですが、It’s X’s task to … には不定詞のほうが定型的。
what he thinks は“内容そのもの”
what he thinks は tell の目的語になっている wh名詞節 で、「彼が考えている“中身”」をひとかたまりで指します。that he thinks … だと「彼が〜と考えるという事実」になり、ここでは不適切。what は関係代名詞ではなく疑問詞の名詞節化に注意(語順は平叙:what + 主語 + 動詞)。

本日の記事の要約
今回の記事をAIが要約しました。ぜひリーディング練習にご利用ください!
要約 日本語訳:
ラジオ番組でトムとショウヘイは、同僚にからかわれてつらいというタケシの相談を読む。ショウヘイはアドラーの「課題の分離」を紹介し、ゴルフ用短パンの例を通して「それは誰の課題か?」と問いかける。上司の怒りは上司の課題で、服装は自分で決めることだとトムは学ぶ。人の問題を背負わず、自分の課題に集中せよという教訓。

先週のESEチャンク解説まとめ記事のご紹介
毎日の放送を追いかけている方も、ちょっと復習したい方も必見です!
先週の放送でピックアップしたチャンクをまとめて解説した【週末まとめ記事】を公開しています。このまとめ記事では、ESEの内容を思い出しながら、日々の英語学習に役立つ重要なチャンクを一気に振り返ることができます。
「チャンクをしっかり覚えたい」「英語表現力を高めたい」「1週間分を効率よく復習したい」という方には特におすすめです。再放送のタイミングでの復習や、苦手なチャンクの再確認にも便利ですので、ぜひチェックしてみてくださいね。

ESEの放送について
NHKのラジオ番組「Enjoy Simple English(ESE)」は、月曜〜金曜の毎朝6:00〜6:05(再放送あり)に、NHKラジオ第2で放送されています。
※最新の放送スケジュールや放送内容の詳細は、NHKの公式サイトをご確認ください。
👉 NHK Enjoy Simple English 公式ページ(外部リンク)
また、聞き逃してしまった場合も、「NHKゴガク」サイトや「らじる★らじる」アプリを使えば、放送から1週間以内であれば何度でも聞き直すことができます。
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