このブログでは、NHKの英語ラジオ番組「Enjoy Simple English(エンジョイ・シンプル・イングリッシュ)」の内容をもとに、
- 本文和訳
- チャンク&単語解説
- 英語での要約
を毎日更新しています。
毎週金曜日は「英語で味わう日本文学”Japanese Classics”」です。日本最古の歴史書であり文学的な価値も高い「古事記」。天の岩屋戸、ヤマタノオロチ、因幡の白うさぎなど現代にも語り継がれる神話を英語で味わいます。
本日のJapanese Classicsのストーリーは「The Torikaebaya Tale – Episode1 A Daughter and a Son」です。
「聞き取れなかったところを確認したい」
「ストーリーを理解してからもう一度聞きたい」
そんな方の学習補助として活用していただけたら嬉しいです。
また、チャンク&単語解説は、日常会話で役立つものやESEで頻繁に出てくるものをピックアップして解説しています。隙間時間の学び直し等にも有効に活用できると思います。
ではさっそく、今日の内容を見ていきましょう!
The Torikaebaya Tale – Episode1 A Daughter and a Son(「とりかえばや物語」- 第1話「娘と息子」):和訳
1ページ目
「はぁ! ああっ!」
「おやまあ。またうちの娘だ。」
大臣は、庭で娘のハルが男の子たちとボール遊びをしているのを耳にしました。ボールで遊ぶのは男の子だけでした。みんな、大臣には元気で活発な息子がいるのだと思っていました。家の反対側には、アキという名の息子がいました。かわいらしい男の子でした。アキは家の中にいて、一日中人形で遊ぶのが好きでした。ふたりの子どもは性格こそ違いましたが、顔立ちはよく似ていました。大臣はどちらの子どもも愛していましたが、息子は娘のようで、娘は息子のようでした。彼はいつもこう思っていました。
「ふたりの立場が入れ替わってくれたらいいのに。」
2ページ目
しかしハルはその後も成長し、立ち居振る舞いはますます立派な若い男のようになっていきました。一方アキは、相変わらずきれいな若い女性のようでした。大臣はただ、子どもたちに幸せになってほしいと願っているだけでした。
ある日、王子がアキのことを耳にし、彼女と結婚したいと言い出しました。父親にとってそれは大変喜ばしい知らせでした。けれどアキは男の子です! もし誰かに知られたら、大騒ぎになってしまいます。そこで大臣は王子の使者にこう言いました。
「ありがたいお申し出ですが、うちの娘はまだ若く、とても内気なのです。よいお妃にはなれないと思います。」
やがて、この美しい娘が王子の求婚を受けなかったという噂は誰もが知るところとなりました。ナツという名の男が、とりわけアキに心を惹かれました。ナツはハンサムで、良い家柄の出で、女性が大好きでした。彼はアキに恋文を書き、親友にその手紙を渡してほしいと頼みました。その親友こそハルでした。ハルは今や男として帝に仕えて働いていました。もちろん、アキが本当は男性であることを知っていたので、こう言いました。
「ごめんなさい、でもアキは興味を持たないと思います。その手紙を彼女に渡すことはできません。」
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しばらくして、ハルの人生に変化が訪れました。彼女はフユという名の娘と結婚しなければならなくなったのです。ハルが女の子と結婚することはできないので、父親はこの結婚を断りたいと思いました。しかし父は、すでにアキの結婚の話を断ってしまっています。もう一度ノーと言えば、家族に何か問題があるのだと人々は思うでしょう。アキとは違い、ハルは頭の回転が速く、困難に立ち向かうことを恐れない性格でした。そこで父はついに、娘をフユの「夫」として嫁がせることに決めました。
結婚式は盛大な行事になりました。フユも高位の大臣の娘だったからです。ふたりは最初はお互いをよく知りませんでしたが、やがてフユはハルに惹かれるようになりました。「彼」は頭がよく、一緒に話していて楽しかったのです。
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しかしフユには、夫について疑問に思うことが山ほどありました。夜、床に入っても、ふたりは話をするだけでした。そして毎月、ハルは「体調が悪い」と言って実家へ戻ってしまうのです。フユはこう思いました。
「何かがおかしい。」
日常生活で使えるチャンク&単語解説
ここでは日常生活で使えるチャンク(言葉のひとまとまり)や単語の解説をします。
チャンク&単語帳
以下のチャンクや単語をタップすると、日本語訳が出てくるので、訳を見ずに意味がわかるか挑戦してみてください!
おや、まあ。(驚き・懸念を表す)
大臣
立場、境遇
〜を断る
チャンクPickUP
One day, the prince heard about Aki and wanted to marry her.
(日本語訳)ある日、王子がアキのことを耳にし、彼女と結婚したいと思うようになりました。
構成パーツの解説
| パーツ | 意味 | 機能 | 補足 |
|---|---|---|---|
| One day | ある日 | 時を示す表現 | 物語で「ある日…」と話を始めるときの定番フレーズ。具体的な日付は重要でない。 |
| the prince | その王子は | 主語 | すでに登場している、または皆が知っている1人の王子を指す the。 |
| heard about Aki | アキのことを耳にした | 動作①(過去) | hear about ~ で「~について聞く/噂を聞く」。ここではアキのうわさを聞いたイメージ。 |
| and | そして/そしてその結果 | 接続詞 | 同じ主語(the prince)がした別の行為をつなぐ。 |
| wanted to marry her | 彼女と結婚したいと思った | 動作②(過去) | want to marry ~ で「~と結婚したい」。her は Aki を指す。過去形なので「そう思うようになった」のニュアンス。 |
hear about ~は、「〜のことを耳にする」「〜について聞く」「〜のうわさを聞く」といった意味で、
人や出来事についての情報を“聞いて知る”ときに使う表現です。「くわしく聞いた」よりも、「その存在や出来事を知る程度の情報を耳にした」イメージが強めです。
日常会話での応用表現
– Have you heard about this shrine? It’s very famous among locals.
(この神社のこと聞いたことある? 地元の人のあいだですごく有名なんだよ。)
– Have you heard about the summer festival in my hometown?
(僕の地元の夏祭りのこと、聞いたことある?)
PickUP長文読解
Enjoy Simple Englishでは関係代名詞等を用いた長い一文がよく出てきます。そこで、ストーリーに出てきた長文の構造や意味などを確認する中で、関係代名詞などの構文に強くなって、長文読解への抵抗をなくしましょう!
今回の一文
“People would think something was wrong with the family if he said no again.”
(日本語訳)もしもう一度ノーと言えば、人々は「この家族にはどこかおかしいところがある」と思うだろう。
構成パーツの解説
| パーツ | 文法・役割 | 意味 | 補足 |
|---|---|---|---|
| People | 主語 | 人々は | 不特定多数の人。世間一般のイメージ。 |
| would think | 助動詞+動詞 | 〜と思うだろう | 「もし〜なら…だろう」という仮定的なニュアンス。未来の可能性を“想像”している。 |
| something | 代名詞(目的語) | 何か | 「何かが/何かしら」というぼんやりした“なにか”。 |
| was wrong | 述語(補語) | 間違っている/おかしい | be wrong で「正しくない」「おかしい」状態。ここでは「正常ではない感じ」。 |
| with the family | 前置詞句(補足) | その家族について/その家族には | wrong の「何がおかしいのか」を補う。「〜には問題がある」という定番パターン。 |
| if he said no again | 条件節(副詞節) | もし彼がもう一度ノーと言ったら | if S 過去形… would … の形で「現実にはそうしていないが、そうしたら〜だろう」と仮定している。say no = 断る。 |
読解のポイント
「would + 動詞」で“本気で起きそうな想像”を表す
中心は People would think … の部分です。ここでの would は、いわゆる「仮定法」的な使い方で、(もしそうなったら)人々は〜と思うだろうという、まだ起きていない状況を想像している表現です。
- will think:きっとそう思うはず(かなり起こりそうな未来)
- would think:そうしたらそう思われるだろう(まだ起きていない仮定/控えめな言い方)
今回の文では、「まだ断っていないけれど、もし断ったら、世間にこう思われてしまうだろうな…」という父親の不安・想像を表しています。
“something is wrong with ~” は丸ごと覚えたい定番表現
something was wrong with the family は、会話でもよく出てくるセットです。
現在形だとsomething is wrong with ~で、「〜はどこかおかしい」「〜には何か問題がある」という意味になります。今回の文では、with the family として、「この家族には何か問題がある」と人々は思うだろうというニュアンスになります。
直訳よりも「世間から変に思われる」という日本語でとらえると、ストーリーに合った解釈になります。
文全体の骨格を先にとらえる
長く見えますが、骨格はとてもシンプルです。
- People would think …(人々は〜と思うだろう)
- if he said no again(もし彼がもう一度断れば)
つまり、
もしもう一度断れば、
→ 人々は「この家族には何かおかしい」と思うだろう。
という原因(if節)→結果(would節)の関係です。
長文読解では、
- まず 主節(People would think …) を見つけて
- あとから if以下 を「条件の説明」として読む
という順番で処理すると、情報に飲み込まれにくくなります。
本日の記事の要約
今回の記事をAIが要約しました。ぜひリーディング練習にご利用ください!
要約 日本語訳:
大臣には2人の子どもがいて、活発な遊びが大好きな娘ハルと、人形遊びが好きなおとなしい息子アキがいます。2人は性別と逆のような振る舞いをしながら成長し、心配した父親はそのことを周りに隠しています。やがて王子がアキに求婚し、別の男性も「彼女」に恋をしますが、本当のことを知っているのはハルだけです。その後ハルは貴族の娘フユと結婚させられ、フユはすぐに「何かがおかしい」と感じ始めます。
先週のESEチャンク解説まとめ記事のご紹介
毎日の放送を追いかけている方も、ちょっと復習したい方も必見です!
先週の放送でピックアップしたチャンクをまとめて解説した【週末まとめ記事】を公開しています。このまとめ記事では、ESEの内容を思い出しながら、日々の英語学習に役立つ重要なチャンクを一気に振り返ることができます。
「チャンクをしっかり覚えたい」「英語表現力を高めたい」「1週間分を効率よく復習したい」という方には特におすすめです。再放送のタイミングでの復習や、苦手なチャンクの再確認にも便利ですので、ぜひチェックしてみてくださいね。
ESEの放送について
NHKのラジオ番組「Enjoy Simple English(ESE)」は、月曜〜金曜の毎朝6:00〜6:05(再放送あり)に、NHKラジオ第2で放送されています。
※最新の放送スケジュールや放送内容の詳細は、NHKの公式サイトをご確認ください。
👉 NHK Enjoy Simple English 公式ページ(外部リンク)
また、聞き逃してしまった場合も、「NHKゴガク」サイトや「らじる★らじる」アプリを使えば、放送から1週間以内であれば何度でも聞き直すことができます。
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